
『ローカル鉄道と路線バスでめぐる果てしなきイタリア旅』
二村 高史
発行: 草思社
四六判 376ページ
「公共交通機関を使ったイタリア田舎町の旅には、相変わらずどこかに「罠」が隠されており、油断がならない。でも、そうした試練があるからこそ旅は楽しく、鉄道やバスでの移動自体も旅を彩る大きな要素になっている」(本文より)
本書は、1981年にシベリア鉄道経由で初めてイタリアを旅して以来、全20州大小250以上の村や町を公共交通機関(たまにタクシー)を乗り継ぎ、踏破してきた著者によるイタリア旅のリアルな記録である。
ローマやミラノ、フィレンツェなどの著名都市については一切触れず、ローカル線でしかたどり着けない“へんぴ”な地域だけを中心に8つのイタリア旅を取り上げ、写真とともに紹介する。
一見行き当たりばったりのような著者の旅の様子を読むうちに、いつのまにか読む側もイタリアの田舎町の日常に入り込んでいるような錯覚に陥る。
旅好きな人はもちろん、忙しくてなかなか旅に行けない人も、著者と同じ視点で、次々に起こる旅のハプニングに戸惑い悪戦苦闘しつつも、食べ歩き、飲み歩き、町歩きをいっしょに楽しみながら読み進められる内容となっている。
自分が主体的に考えて動かなければならない公共交通機関の旅は、大変なことが多い分だけ、達成感や心に残る思い出がたくさん残る方法でもある。旅本来の楽しさを思い起こさせてくれる一冊と言える。
法政大学名誉教授 陣内秀信氏推薦
「イタリア大好き人間をディープな旅へ誘う必携の書!」
<目次より>
◎1.シチリア島の裏街道を鉄道&バス乗り継ぎ旅(シチリア州)
◎2.イオニア海沿いを走る鉄路に沿って乗り継ぎ旅(カラブリア州)
◎3.ローカル私鉄に乗って半島めぐり旅(プーリア州)
◎4.狭軌の私鉄と小さな路線バスで奇岩の田舎町をめぐる旅(バジリカータ州)
◎5.アペニン山脈の別世界の廃線跡をバスで乗り継ぎ旅(アブルッツォ州~モリーゼ州)
◎6.アルプスのふもとの小さな町をローカル鉄道VS路線バス乗りくらべ旅(ヴァッレ・ダオスタ州)
◎7.伝統と神秘の不思議な島、鉄道&バス乗り歩きの旅(サルデーニャ州)
◎8.イタリアの中にあるドイツ「南チロル」を再発見する旅(トレンティーノ-アルト・アディジェ州 ボルツァーノ自治県)
二村 高史 (フタムラ タカシ)
公益財団法人日伊協会常務理事。1956年東京下町生まれ。小学生時代から鉄道の乗り歩きに目覚め、学生時代は日本中を旅する。東京大学文学部卒業後は、シベリア鉄道経由でイタリアをはじめとして南欧各地をめぐる。その後、塾講師、パソコン解説書制作、日本語教師などを経験してフリーランスの物書き、写真撮りに。著書に、『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)、『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)、『鉄道黄金時代1970's ディスカバー・ジャパン・メモリーズ』(日経BP)など。