『新百姓宣言』
おぼけん / 雑誌『新百姓』編集長 (著)
発行: ている舎
文庫判 256ページ
人間がシステムに隷属するのではなく、創造の主体として、一人ひとりの創造性がより自由に解放されるには?
本書では、今のCapitalism(資本主義)に至る社会システムのコンテキストとその本質や機能不全について考えた上で、「つくる喜び」を最も大切にするCreativitism(創造性主義)というあり方を提示し、それに向けた世界観や価値の転回について論じます。そして、Creativitismの観点から見た暮らしや仕事のあり方と、それに基づいた新たな社会の仕組みについて、仮説を提示します。
カネを最重視するCapitalismをはじめ、従来の権威的な主義と違って、
Creativitismが最も大切にする「つくる喜び」は、あくまで私たち一人ひとりが個人的に、自らの感覚によってしか確認できないものです。だからこそ、身の周りの衣食住から、物事の解釈や意味づけという「見方」まで、あらゆるレイヤーで私たちは一人ひとりが創造の主体であり、日常の中のどんな営みからでも、「つくる」を楽しみはじめられる。
Capitalismの限界が様々な面であらわになりつつある今、既存の社会システムに疑問を持ち、生き方や働き方を根本的に考え直す人が増えているのではないでしょうか。
「常識」や「正解」にただ沿うのではなく、自分が本当に大切にしたいことを、大切にしたい。狭い範囲でコントロールするのではなく、より広い縁起の中で、偶発性を楽しみつつ、自分が思い描くものを、自らの手でつくってみたい。
もしもそういった思いを抱いているのならば、本書はそういう方々に友人のように寄り添い、問いかけ、背中を押し、ともに考え歩むような一冊になり得ると思います。
本書が、手に取ってくださったお一人お一人にとって、自身の秘めた創造性に気づき、より花開かせるきっかけの一つになれれば幸いです。
おぼけん / 雑誌『新百姓』編集長(著)
1982年、国東半島の兼業農家に生まれる。大学で文化人類学を学んだ後、
カネにならないという理由で父が稲作を辞めたことから資本主義に疑問を持ち、証券会社に就職。リーマン・ショックでさらに疑問を深め、2010年に退職、世界の経済の現場を巡るフィールドワークへ。
2013年に帰国後、資本主義に代わる新たな社会システムを探究するため、社会課題解決を志す起業家向けの相互扶助コミュニテイ形成型創業支援プログラムを立ち上げ、83社150名の起業家に伴走。2018年より、カネを目的としない次世代起業家向けの新たな投資の枠組みを探究するため、Mistletoeにてスタートアップ投資に携わる。その傍ら、自治体や大学と連携し起業家の苗床づくりを手掛けるおせっかい社かけるを創業。
2021年、大分県国東半島に移住、「つくるを探究する暮らし」を始める。
2022年、施とともに雑誌『新百姓』を創刊し、現職。
著書に『なぜ日本人はこんなに働いているのにお金持ちになれないのか? 21世紀のつながり資本論』(いろは出版)など。