『つくる人になるために』
光嶋 裕介(著) 青木 真兵(著) 青木 海青子(イラスト)
発行: 灯光舎
B6変判 並製 260ページ
自分にとって大切だと思うことを、思い切って言葉にする。
誰からも必要とされなくても、見向きもされなくても、声を発し続ける。
それが僕にとっての「つくる」ということ。
建築する日々に励みながら、旅先でのスケッチや執筆活動にも精をだす若き建築家と、奈良の山村に私設図書館をつくり、執筆や自主ラジオなど様々な形でメッセージを発信する若き思想家が、些細な日常の出来事や思索をつぶさにみつめて綴った往復書簡。
なぜ建築をつくり続けるのか、「ちょうどよく」働くことはできないのだろうか、私たちにとってお金とは何なのだろうかなど、ふたりの書簡は日常の些細な物事にふれながら、私たちが何気なく受け入れている社会の「常識」を揺さぶるような対話へ展開していきます。
モノづくりに限らない「つくる」行為を手がかりに、「人間という生き物」として暮らしていける社会を考え、生きるための土壌を耕すような対話が本書にはあります。
また、この本を彩るイラストを描いてくださったのは、「ルチャ・リブロ」で司書を務める青木海青子さん。クマとバイソンは著者ふたりのイメージキャラクター。対話のテーマによって、いろいろな姿をみせるクマとバイソンは必見です。
対話相手の知性に対する敬意を示すのは容易なことではありません。「打ち返しやすいボール」を打ち込むことではもちろんないし、かといって「打ち返せないボール」を打ち込むことでもない。そのあわいの、相手が最高のパフォーマンスを発揮できる球筋をピンポイントで狙う技術がふたりとも卓越しています。
――― 内田 樹
光嶋裕介(こうしま・ゆうすけ)
建築家/一級建築士/博士(建築学)
1979年米国・ニュージャージー州生まれ、小学校2年生の頃日本・奈良に帰国するも、少年野球(5番キャッチャー)に熱中。中学からカナダ・トロントと英国・マンチェスターで過ごし、野球に加えてNBAにハマる。高校で再度帰国し、バスケに明け暮れて、バンド(英語の発音がよくて声がデカイだけのボーカル)をやったり、村上春樹を通して読書に目覚めたり、麻雀を覚えたりする。2004年に早稲田大学大学院を修了し、単身ヨーロッパへ。ドイツ・ベルリンの設計事務所で職を得て、4年間働く。2008年に帰国し、光嶋裕介建築設計事務所を開設。2011年に処女作として、内田樹先生の道場兼自宅《凱風館》を神戸に完成させる。竣工後すぐに入門し、現在は合気道参段。2021年より、神戸大学特命准教授。主な作品に、《旅人庵》(京都)、《森の生活》(長野)、《桃沢野外活動センター》(静岡)など。2015年にAsian Kung-Fu Generationの《Wonder Future》全国ツアーのステージデザインとドローイングを提供。主な著書に、『増補 みんなの家。』(筑摩書房)、『つくるをひらく』(ミシマ社)など多数。最新刊は、『ここちよさの建築』(NHK出版)。
青木真兵(あおき・しんぺい)
思想家/社会福祉士/博士(文学)
1983年生まれ、埼玉県浦和(現さいたま)市にて育つ。現在は「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーターを名乗っている。中学・高校時代は米米CLUBとみうらじゅんに傾倒していた。大学では考古学を専攻し、大城道則先生の研究室と図書館を往復する日々を過ごしながら、長期休みには国内外の発掘調査に出かけていた。大学院進学を機に関西に越し、西洋史を専攻しつつ内田樹先生の大学院ゼミに通う。
専門は古代地中海史(フェニキア・カルタゴ)。2014年より実験的ネットラジオ『オムライスラヂオ』を週一本以上配信し続けている。2016年より奈良県東吉野村在住。現在は障害者の就労支援を主な仕事にしつつ、大学などで講師を務めている。著書に『手づくりのアジール』(晶文社)、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(エイチアンドエスカンパニー)などがある。