
『火葬』
金 薫(著) 柳 美佐(訳)
発行: クオン
B6変型判 128ページ
死の影が忍び寄る妻を看病する私の前で
あなたのあふれる生命力はまばゆい光を放っていた
第6回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」受賞作を書籍化
大手化粧品会社で役員を務め現場の指揮を執る「私」は、前立腺炎を患いつつ、死期の迫った妻の看病をしている。病にむしばまれていく体へのぞっとするほどのリアルな描写と、社内の女性社員への秘めた思いの独白とが交差しながら物語が進んでいく。
「通俗的設定のようにも見えるが、作品は読者の安易な感情移入を冷たくあしらうかのように終末へと向かう」――訳者解説より
金薫(『狐将』、『黒山』)による2004年李箱文学賞受賞作を、原文と邦訳の二言語で収録。
金薫(キム・フン)
1948年ソウル生まれ。長編小説『狐将』、『月の向こうに走る馬』、『ハルピン』、小説集『そこにひとりで』、散文集『鉛筆で書く』などがある。
柳美佐
京都大学大学院 人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。英系船舶代理店勤務、日系電機メーカー社内通訳(英語)を経て現在同志社大学嘱託講師。在日コリアン三世。2021年より韓日文芸翻訳を学ぶ。第6回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」にて本作「火葬」で最優秀賞を受賞。